東京・南青山に店を構える日本料理店「てのしま」。日本を代表する京都の老舗料亭「菊乃井」で修行を積んだ林亮平さんが2018年に開業し、「現代の民藝」をテーマに、日本各地の食材や伝統を活かした料理を提供している。温かみのある空間で繰り広げられる食の体験は、新しさの中にどこか感じる懐かしさがあり、「どこかにありそうで、どこにもない日本料理」を目指す林さんの想いが人々の心に火を灯す。2020年以降ミシュランの星を獲得し、故郷への想いを大切にしながら、日本料理の可能性を広げ続けている。
「てのしま」基本情報と特徴
基本情報
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- 店名:てのしま
- ジャンル:日本料理
- 開業:2018年
- 所在地:〒107-0062 東京都港区南青山1-3-21 1-55ビル2階
- アクセス:青山一丁目駅より徒歩3分
- 電話番号:03-6316-2150
- 席数・設備:18席、個室無、貸切可
- 営業形態:完全予約制
- 営業時間:18:00〜(20時最終入店)
- 定休日:日曜日・祝日
- 平均予算:20,000円〜
- ウェブサイト:https://www.tenoshima.com/
メニューの特徴
「てのしま」のおまかせコースは、和食の伝統と現代的な感覚を融合させた内容が特徴。だしの旨みを活かした碗物や、丁寧な包丁技が映えるお造りなど、和食の醍醐味をしっかりと堪能できる構成になっている。また「唐揚げ」などカジュアルな料理をコースに盛り込むことで、敷居の高さを感じさせず、和食をより身近に楽しめる工夫も。林さんの目指す「みんなの和食」が、味わう人に美味しさと心地よさを与えてくれる。
林さんのルーツでもある瀬戸内を中心に、郷土料理や日本各地の食材が新しい形で取り入れられており、日本料理の歴史や文化を大切にしながら新しい可能性を模索する林さんならではの料理は、ミシュランや他料理人から高く評価される。
予約方法
電話またはインターネットで予約が可能です。
予約可能サイト:ポケットコンシェルジュ(2024年12月時点)
林亮平さん 郷土と世界をつなぐ料理人
林さんは、1976年香川県丸亀市生まれ、岡山県玉野市育ちの日本料理人。立命館大学卒業後、懐石料理の名店「菊乃井」の村田吉弘氏に師事し、17年間にわたり修業を重ねた。修業時代には副料理長も務め、技術を磨くとともに、国内外での和食普及イベントを通じて幅広い経験を積んだ。
2018年に東京・南青山で開業した「てのしま」は、開店後まもなくミシュランを獲得。京都で培った正統派の技法と、郷土である瀬戸内の食材や料理を融合させたスタイルで注目を集めている。また、「日本料理アカデミー」や「Chefs For The Blue」にも所属し、持続可能な食文化や地域との連携にも力を入れる。
シェフの経歴・受賞歴
生年:1976年
出身地:香川県
所属・肩書:「てのしま」店主
独立:2018年に「てのしま」を開店
主な修行先:京都「菊乃井本店」
主な経歴:
京都「菊乃井本店」副料理長
赤坂「菊乃井赤坂店」渉外料理長
出演歴 :NHK「きょうの料理」「シェフの休日〜おいしいごはんと暮らしのレシピ」
林亮平さんの料理哲学と人生観
林さんが料理人を目指すようになったのは、大学生時代のことでした。
一般的な就職活動をしていく中で「自分の好きなことを仕事にした方がいい」とはっきりと感じ両親に懇願。幼い頃から好きだった料理の道に進むことを決意します。
料理人のつてなど全くない中、料理関係の書籍を読みあさり出会ったのが、師匠である「菊乃井」村田吉弘さんの著書。頭を丸め、スーツ姿に手紙をしたため「菊乃井」の門を叩いたのがはじまりだったと話します。
「誠意はあるか、公利はあるか」
毎日を必死に過ごしていった菊乃井での17年間。師匠の村田さんから繰り返し言われた言葉です。
料理を通じていかに社会に貢献するかを常に問われていたとのこと。料理屋でその様な考え方にふれるとは思っておらず、心にのこっている言葉の一つと林さんは話します。故郷である「手島」への貢献や、海洋資源の保全に取り組む「Chefs for the Blue」の取り組みなど、林さんの活動の根幹となる考え方です。
また、菊乃井の修行中には多くの海外プロジェクトにも従事した林さん。海外と対比をすることで、日本料理や日本というものの素晴らしさ、またその課題を感じてきたと話します。
「他のものに触れることで、僕たちの文化、民族、全て違いが明確になりますよね。その中で自分たちの日本料理がどういうものなのかが削ぎ落とされ見えてきたところがあります。 歴史、文化に確固としたものがあること、それが現代に繋がっていること。 どこを切りとっても物語になるし、素晴らしいものの結晶体であることは間違いないです。
でも、現代においては断絶しかけているという思いがすごくあって。過去のものを享受しているということに現代はなかなか気づきにくい状況。日本料理の周りの伝統文化や工芸が今すごい勢いでなくなろうとしている。そういう危機感も同時に見えてきたということはあります。」
「未来のヒントは過去にある」
修行を経て独立し、東京・青山の地で「てのしま」を開業した林さん。故郷の「手島」を店名に入れ、地方を元気づけること、郷土料理を再興することに想いを込めます。
「先輩方の年代が日本の文化を世界の皆さんに知ってもらうために、どんどん外に出て行った。僕らの時代はより戻しが来ていると思っていて、自分たちの足元を見る時なんじゃないかと。世界的な視点をもって地方を考えることがすごく重要だと考えています。」
「次の時代の日本料理を考える上で、郷土料理を再興することが1つの大きなテーマであると僕は思っていまして。新しいものを作ることにおいて、過去を知らなければ、そこに積み上げたものがなければ、結局向かっていく方向がよくわからないものになってしまう。だからこそ、古いものが重要なんじゃないかと。
過去のものをもう一度再興することがすごく重要で、みんなの心には届くけども何か新しい、でも心の中のどこかにある。味わったことがある。そういったものが作れるんじゃないかなという風に思って、いろんなところを訪ね歩いています。」
※味道-MIDO- Webサイトで林さんのインタビュー動画を公開しています。無料会員登録のみで視聴可能ですので、ぜひご覧ください。
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「味道 -MIDO-」は、日本を代表する料理人たちが仕掛ける新しい動画配信サービスです。
「日本の食文化の継承と発展」を目的とし、食を愛する方々に向けて一流の技やレシピ、哲学に関する動画を配信しています。
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